イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

いつも「なろう令嬢」の型を崩してくれます。

  • 投稿者: くろたえ   [2021年 02月 11日 01時 15分]
婚約破棄、離縁から始まる物語。
そんなものは山とある。
夜会で夫は別の女性を伴っている。悪女に仕立て上げられる。
はい。型どおりですね。
と思いきや、結構地に足の付いたお嬢様で、ワイン瓶片手に庭に逃げていた男に(これが、また大人の色気があるのだよ)「メイドの空きありますか?」と聞く。
そして男は告げる。題名にもなった「世界は広いと思うかね」
令嬢の世界は狭い。親の財産の一部のようなものだ。
しかし、もう少し広い視野で見ることが出来たなら?
自分を卑下することもなく、自分を愛さなかった夫の苦悩さえも見付けた。
ならば、新しい人生を始めましょう。
再びお飾りの妻としてではなく、共に笑い合える夫婦となるために。

あなたはガトー・オ・ショコラを食べたことがあるだろうか。

  • 投稿者: pai-poi   [2020年 12月 22日 22時 22分]
曇りなく輝く白磁の皿に佇む高貴で重厚な濃茶色
白銀を想わせるパウダーシュガーが、生娘の憂いを顕すかのように仄かに降り注がれている
その上には騎士に捧げたる月桂樹の冠の如きホイップクリームが捧げられ、清純なミントが一葉添えられている

一口目
端の方に銀のフォーク差し入れる
触感からこれの濃厚な予感に期待が膨らむ
確かな苦み、確かな重みにあなたの舌が反応する

二口目
クリームを敢えて取らずに口に運ぶ
そこに強さと弱さの複雑な味わいに確信する
交差する「完成された紳士」と「虚勢な少女」
或いは「少年の純真」と「導く淑女」
戯曲はゆっくりと回り始める

三口目から先は
期待以上の美味に味覚が支配されるのだ
脳髄はおろか全身が感応するのだ、その至福に満たされるのだ
根底に流れる作り手の優しさと、生きていく者の力強さを感じるのだ

ほろ苦い中にある甘さに、あなたは蕩け堕ちる

大人の恋の物語をあなたに

  • 投稿者: 間咲正樹   [2020年 12月 22日 17時 35分]
主人公のローラは、アトキンス家に称号のおまけとして売られるようなかたちで嫁いだため、夫とは名ばかりの夫婦。
そんなある日、赴いた夜会で夫の幼馴染がワインを零し、それをローラのせいに――。
その場から逃げるように出た中庭……人生に疲れたローラはひとりの男と出会い……。

とにかく主人公を含め登場キャラがみんな魅力的なので、読めば読むほどハマること請け合い!
激戦区の異世界恋愛ランキングで上位に入っていることからも、その実力が窺えます!

タイトルも非常に深いです。
是非ラストまでお読みいただいてから、もう一度タイトルに注目してみてください!
↑ページトップへ