イチオシレビュー一覧

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たとえ離れていても。

久しぶりに子供と離れてゆっくりと過ごせる休日。
夫がまだ幼い息子を連れてテーマパークへ遊びに行った。

朝遅く目覚めて、まったりと過ごす時間。
こんなにゆっくりと過ごせたのはどれくらいぶりだろう。

リラックスしながら、やりたいことをやって過ごす一日なのだが……やはり一番に思うのは家族のこと。

ごくごくありふれた日常的な光景だが、その一場面を切り抜いただけなのに胸を打つのはなぜだろうか。



タイトルにもある通り、粉雪が降るとある冬の一日のお話。

筆者さまの一押しの短編ということで、拝読いたしました。
「推し」短編だけあって、心に残る素晴らしい作品です。
是非ともお読みいただきたい。

たった1500文字のハートフル

  • 投稿者: XI   [2022年 03月 04日 08時 01分]
作者はヒューマンドラマ・恋愛小説の名手である。本作も佳作だ。実にうまく書かれている。三人称一視点で織り成される文章はとても平易で読みやすい。安定・安心は小説においては正義だ。読む者を暖かい毛布に包むようなその優しさ、温もりは、誰にでもひねり出せる要素ではなく、だからこそ本作とその作者様は稀有な存在だと主張したい。

1500文字ではあるものの、読み応えはじゅうぶん。軽い風邪の症状がみられる悠美に夫・和人が言ってみれば「一日お休み券」をくれたのである。普段の生活の中にあってなかなかゆっくりする時間が持てない悠美にとって、それはとても嬉しいプレゼントだった。

久しぶりの一人きり。クッキーの缶を抱えソファに座ってバレエを観て。その非日常さに夢見心地になり。しかしふと窓の外に目を遣った折に見られた粉雪が彼女を不意にリアルへと引き戻す……。

読後、きっといや絶対に、あなたは微笑んでいるはずだ。

非日常の中、粉雪が思い出させてくれた日常

  • 投稿者: 三羽高明   [2021年 12月 25日 11時 38分]
夫が幼い息子を連れて遊園地へ行ったことで、主婦の悠美は、久しぶりに一人の時間を満喫できることに。

豆から珈琲をひいたり、来客用の茶葉で紅茶を飲んだり、録画しておいて番組を見たりと。悠美は誰もいない部屋で思うままに振る舞います。

そんなとき、窓の外に粉雪がちらついているのに気が付きました。

その光景に悠美が感じたこととは……。

どんなときも忘れない家族への愛が描かれた作品。非日常から日常へとゆっくりと戻っていくラストシーンが印象的です。

思いやる心は思いやる心を呼びます。平凡な家族の優しい一幕。お楽しみください。

  • 投稿者: 水渕成分   [2021年 02月 25日 22時 25分]
銘尾友朗様の「冬の煌めき企画」参加作品です。

1500字の純文学。第三者視点でしっとり落ち着いた感じの文章はとても読みやすいです。

主人公は平凡な一人の主婦・悠美。今日は久々の朝寝ができました。

風邪をひいた彼女を慮り、夫が息子を遊園地に連れて行ってくれているのです。

久々のゆっくりした一日を楽しむ悠美。毎日こうだったらいいのにと思ったりします。

そんな彼女がふと外を見ると雪! 粉雪!

彼女は外出している夫と息子のことを思い出します。

そして……

ここから先は実際に読んでお確かめください。

思いやる心は思いやる心を呼びます。平凡な家族の優しい一幕。お楽しみください。

冬なのに、ポッカポカ。とても温かな作品です。

  • 投稿者: 家紋 武範   [2021年 02月 01日 22時 39分]
育児に疲れた主婦。
息子のやんちゃぶりに日々奮闘。
見かねた旦那さんが、奥さまにお休みをくれ、息子を連れて遊びに出て行く。

冬のどこにでもありそうな一ページ。
そしてどこにでもありそうな結末。

しかしですね。
どこにでもありそうだからこそ、このストーリーに共感し、胸に温かいものを感じるはずです。

家族の愛、奥さまが作る食事。そして帰宅する家族は暖められた部屋に感動するでしょう。

この作品を読んで、ぜひともポカポカして貰いたいです。

ありふれているが、それでも尊い幸せ……胸の奥から、じんわりと温もりが広がる。

主人公は、夫と幼い息子とともに暮らすひとりの女性。
家事はいつも大忙し。幼い息子は絶好調の悪戯っ子、何をしでかすかなど分からないから、いつも目が離せない。子を持つ親となることは、想像していたよりもずっとずっと大変だった。
そんな彼女に、夫が休日を用意してくれた。
風邪気味だった彼女の身を案じて、息子の世話を引き受けてくれたのだ。
久しぶりの、ひとりで過ごす時間を謳歌していた彼女は、ふと窓の奥に雪が舞っていることに気づく。
すると、妻であり母でもある彼女は、急に家族が心配になり……温かい食事を用意して、愛する家族を迎える容易に取り掛かるのだった。

家族がいる――ささやかでありふれてはいるが、それでも尊く、大切な幸せを、思わず分けてもらいたくなる一作。
読めばきっと、胸が温かみに満たされることであろう。
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