イチオシレビュー一覧

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彼女を即位に追い込んだのは

  • 投稿者: 真珠姫   [2021年 11月 27日 03時 50分]
王女は十八歳。
兄王の急逝で幼い甥が成人する迄の十年間だけと期限を区切っての即位を決意(父王も母妃も既に亡し)。
幼い頃から婚約が内定していた彼との血を流すような離別。
女王でいる間は結婚せず子供も持たないとの宣言。
即位など想定していなかった為の苦労。

幼い息子たちの王位継承権の行方を疑う王妃は王女の幸せを少しでも慮ったのだろうか?
「私たち家族のために」と義妹を「家族」から疎外して。
息子が成長してくると独身を貫いている彼女に結婚を薦めるのは排除と受け取れなくもない。
そもそも甥を即位させ王妃が摂政となる選択肢はありえなかったのだろうか?

喉に刺さった魚の骨のような兄嫁の存在は、彼女と彼の離別から彼の結婚の顛末と彼女の降嫁先探しの切なさを際立たせる。
最高のスパイスにより主人公への肩入れが半端なく可能な、のめり込んで読んでしまえる作品。

大人読者にこそ刺さる、けなげな女王陛下の物語

  • 投稿者: 琥珀   [2021年 03月 21日 00時 04分]
あと少しで幼馴染の元に降嫁する予定だったのに、想定外の事態で即位することになってしまったうら若き女王陛下の奮闘記というお話です。

国を割るきっかけになるようなことはできなくなってしまったために辛い決断もし、全力投球で慣れない執務にも取り組み…と、けなげに頑張っているのに、それがちゃんと通じてなかったりして、「人生あるある…」となってしまうことも起きたりするのですが、さまざまな出会いを通じて、「女王」「王族」「女性」といった社会的な役割から、自分が本当にしたいことを求めてはみ出していくヒロインと、それを支える人々の姿は微笑ましく、また励まされます。

人間誰しも、思い込みで自分で自分を縛ってしまいがちではありますが、特にしがらみがしがしがにしがらみがちな大人こそ、この物語が刺さるのではないかと思います。

週末に読むと、月曜と戦える気力が湧いてくると思うので、なる早でどうぞ!
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