イチオシレビュー一覧

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超心霊的医術を取り巻く群像劇&ホラー

  • 投稿者: 西湖 鳴   [2021年 06月 21日 20時 52分]
まったく…
この物語を読む方は、あくまでこの物語が「ホラー」であることを忘れてはいけません。
タイトルにあるとおり、バロウルという技術を巡る群像劇的要素が強く、次々と登場するキャラクター達に感情移入しがちです。
しかし「ホラー」です。そこだけ注意。

そこだけ注意してしまえば、登場人物達の行動や言動が大分面白く、のめり込むようにして物語の中に入り込むことが出来ます。

歯医者がバロウルによって本来の歯医者としての技術を忘れ強引な手術を執り行ったり、美女が美しさを保つためにバロウルで体の交換を繰り返したり、およそ私たちが想像の及ばない世界が待ってます。

また、作者の文章力にも目を見張るものがあり、きっちりと下調べや分析をした上で執筆されていることがよくわかる。実力の上に成り立つおふざけ、そんな雰囲気です。


あなたならバロウルをどのように有効活用するだろうか?

鬼作というかなんというか

  • 投稿者: hikarin79   [2021年 06月 13日 22時 08分]
心霊手術を題材にした作品は数あれど。
SF要素も加味してのホラー?はなかなかないと思うので面白いです。ミキストリ?菊池秀行?

作品のディテールの細やかさもさることながら群像としての設定も大変良いですね。人間味あふれるキャラクターと狂気の比率が心地いい。

未消化の部分もありますが、広げた大風呂敷を回収できてるのは凄いなぁと。

本読みって一度や二度は自分で書いてみたくなりチャレンジはするのですが完結できないんですよね。そもそもさわりの数ぺージしか書けないとかザラですし。

特にこういう鬼作というか自分が絶対に思いつかない物語に出会うと「読み専」でもしょうがないと思ってしまいます。才能って才能って。

誰でも医療ができる時代、そして誰からも移植できる時代の物語

  • 投稿者: 砂鳥 二彦   [2021年 05月 18日 09時 30分]
5話までの内容を含みます。
バロウル、それは他人の身体に腕を透過させることのできる超神霊的医術。

そのおかげか、金持ちは整形や臓器の移植を楽しめ、貧しい者は身体を売り買いできる時代。それでも他人に身体をくれてやるのは難しい話だった。
そんな世界で盲目の妹のために片目だけでも視力を回復させたい兄のピーターは物乞いのように色々な人物に片目を交換してくれないかと頼んでばかりいる。

そんな毎日を送っているピーターと同僚のジャクソンがごみ収集をしていると、なんとごみの上に死体が転がっていた。
しかもその死体に両目はない。いや、抜き取られていたのだ。
そんな死体を見つつピーターは残っていれば妹の目と変えられたのにと思う。
だが犯行には往々に動機がある。ならば犯人として疑われるのは――。

SF+似非科学医療+ミステリー、面白さマシマシです。
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