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新旧の怪異を独自の解釈で綴った名作

  • 投稿者: 村本 凪   [2021年 11月 28日 19時 54分]
舞台は、運が悪ければ日常生活で、凶悪な怪異と遭遇しかねない日本。

とある理由により、怪異の関係性が疑われるバイトに応募した、二人の少女の視点をメインにして物語は進行していきます。

この作品で筆者が一番素晴らしいと思う点は、怪異への解釈です。

元々の存在を保ちながらも、付け足された要素によって、深みを増していく怪異たち。そのどれを取っても、新しくありながら、腑に落ちる。元の怪異の要素を損なわないバランスの取り方が上手いと感じます。

また、怪異の前では人間は無力、知識を持つことでなんとかやり過ごせるような存在として描くことで、それぞれの怪異の解説が、助長等ではなく、とても活きています。

しっかりと枠組みが整ったホラーを読みたい方に、ぜひオススメしたい物語です。

あの作品より踏み込んでる、キマっている作品なのでは?

105/105まで読了。

これを他の人に説明するのならば、「裏世界ピクニック系」と簡単に紹介できるんですが、
むしろこれ、あの作品より“キテる”作品なんじゃないの? と軽く首を傾げてしまいますよ。

何がすごいって、オカルト・怪異・ホラーに対する造詣の深さもさることながら、
おどろおどろしい描写に対する覚悟が半端じゃないですね。
その辺が、あの作品を越えてるんじゃないの? とも思えた次第です。
いや、すごい。

まぁ、そういう感じの「何の加減もしてない」ホラーなので、読み手は選びます、確実にw
だけど、そういう一品をお探しの方は、かなりの確率で満足度を得られるんじゃないか? とも思います。
夏の夜に、肝が冷える話をお探しの方は、是非。

怪異の前に人間は余りにも無力!無力だからこそ美しい!!

まず初めに申し上げますと、私とてもホラーな話が苦手で、本作もガッツリホラーなのでマジでビクビクしながら最後まで読ませて頂きました!!

しかしながら本作は、メイン二人の明るさと強さ、そしてへこたれなさが図抜けており、様々なガチガチの怪異が何度となく襲いかかる中でも「このタフさが人の強さじゃゴルァ!」と言わんばかりにタフさだけで無理くりぶち抜いていきます。

その様はある種爽快感すら感じる程。
怪異による被害、怪異による破滅的な結末。そのどれも未然に防げていないにもかかわらず、二人はへこたれずに次の怪異へと向かうのです。強い。これが人間の強さなのだとまさかホラーで教えられるとは思いませんでした。

ホラーという枠組みの中で、これほどまでに王道の娯楽作品に触れたのは初めてです。
最後まで強く、どこまでも逞しかった彼らに心からの賛辞を!!

女の子達、未曽有の金欠、ヤバすぎるバイト、青春は極彩色

金に困っている女の子達が危険なバイトをして怖い目に遭う、超簡単に説明するとそんな話。

まずキャラがいい。主人公は莫大な借金の為に目玉や内臓を売り飛ばすボンビーガールLv99ですし、美人偽巫女の相棒も口は悪いが憎めない。他にも女ヤクザや筋肉モリモリマッチョマンの喪服等が出てきて、どいつもこいつも筋が通ってカッコよくて名演です。
設定もいい。太陽が無くなって空っぽの空の下、主人公らが運び屋・人形供養・漁の手伝いなどに取り組む中で、毎回恐ろしいものに遭遇する。本やネットで見たことあるようなそれらは、しかし、作者様に料理されて全く新しい異形の怪異に仕上がっています。
物語が素晴らしい。主人公の精神性や相棒の偽巫女の言う「形而疆界学」等の謎の言葉、サブキャラとの関係、そして世界の秘密が組み合っていくラストは圧巻でした。

過酷で、狂っていて、鮮烈な日常を生きる二人の姿を、どうぞお楽しみください!
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