イチオシレビュー一覧

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鉄分と名古屋分が濃密に詰まったリズミカルでコミカルな創作噺。

シンナゴヤという一定世代以上の名古屋人には懐かしい響きのタイトルに惹かれて開いて見ると、気がついたときには一気読みしてしまいました。

名鉄など名古屋地域の鉄道を擬人化したシンデレラ・ストーリー。作品の中にはディープな鉄ネタが随所に溢れ出し、さらに名古屋ネタがこれでもかというたたみかけてきます。まるで八丁味噌を溶き入れてじっくり煮込んだ老舗のどて煮を彷彿とさせるほどの濃度です。

そんな濃度でありながらもサクサクと読めてしまうのは作品が持つテンポの素晴らしさあってのもの。特に登場人物たちの会話のリズムが本当に心地よく、まるで声が聞こえてくるようです。

名古屋の若手落語家さんである登龍亭獅鉄さんの作品ということもあり、演芸場で創作噺を聞いているかのような気分に浸ることができました。名古屋ネタや鉄ネタに詳しくない方でもきっと楽しめる作品です! 
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