イチオシレビュー一覧

　生来の体質というものはその人の一生に付いて回るものであり、決して切り離すことは出来ない。
　そしてそれが、その人の幸せを阻むものだったのだとしたら。きっと、その苦しみを真に理解して寄り添えるのは、同じ痛みを味わってきた人だけなのでしょう。

　ただそこにいるだけで絶え間ない「雨」を呼び込んでしまう。そんな生まれ持ってしまった運命故に誰とも結婚出来ずにいる公爵令嬢の前に現れたのは、砂漠の王子。
　「雨女」と、「晴れ男」。正反対の運命を抱えた2人の出会いが呼び込む、彼らならではの未来とは？　その結末を是非、読者の皆様にも見届けて頂きたい。

「そう思いますよね」
「分かります」
「そうですね」

「婚約破棄をお受けします。短い間でしたが、お世話になりました」

　懇切丁寧にもっともな理由を並べられて婚約破棄を告げられたので、納得してお別れしてきたヒロイン。
　理由がもっともなだけに、後腐れもない。
　ただし、実家に帰っても家族を困らせそうでそれもまた気が重い。

　どうしようかなと思っていたら、彼女をとても探し求めていたひとが現れて……

　とげとげしさゼロの婚約破棄。
　全方位丸く収まって最後は「雨女たしかに最強。砂漠に行ってくれたらいいな」って現実の世界でも夢をみたくなる。
　そんなほのぼの物語。

　イラストも清涼感があってとても綺麗です。