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元札幌市民として概ね同意するけど、できないことははっきりと書くべき

  • 投稿者: 遠藤 樹   [2021年 06月 27日 14時 34分]
元札幌市民です。これを読んで、あーわかるわーそんな感じだよねー、って思いました。ただ、面白おかしく表現するのはいいですが、人里に来て人を傷付けた熊を自然に返すことは不可能です。そこははっきり書いて欲しかったなあ。

人里におりてきて人の食料を口にした熊は、今のところ射殺する以外の選択肢はありません。何度でも人里を探して降りてきてしまうからです。
人間が遠くても美味いレストランにでかけるのと同じ。遠くて、変な生き物――人間が何をしてくるかわからない恐怖も、レストラン人里の極上で美味な食べ物の前には些事です。

熊の来店拒否をしてくれるハンターの皆様は、普段は普通のサラリーマンって人もいます。勤務中だろうと何だろうと突然呼ばれ、給料よりやすい金額で命を懸けて駆除しろと言われます。勇者として讃えろと迄はいいませんが、クレーマーはせめて自分が恥知らずである自覚をしてから口を開いて欲しいものですね。

ロジックを忘れ、感情論に流れる多くのクレーマーへの正しいアンチテーゼ

 「可哀想」
 ただこの一言で、そこに関わる多くの人の生活と時には人命すら軽視する現代の浅慮軽薄な方々への強烈なアンチテーゼでありながら、シリアスなテーマをギャグを交えてコメディタッチで軽妙にかつキャッチーに描写している良作です。

 シニカルな表現やギャグなどコメディ調でありながら不謹慎にならないバランス感覚の良さや、ハンター業に携わる方々への見識の深さと敬意が感じられ、大変に感銘を受ける内容となっています。

 感情論や主観的な感覚で一面的なクレームをつけるのではなく、其処に存在する問題や立場を多面的に捉えることの重要さを、当事者の立場から具体的に、かつ批判者の立場まで慮って書かれていますので、是非、ご一読されますようオススメ致します。
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