イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

歌が向かうのはいずこか

 ティノは歌うことが大好きな男の子。
 彼は吟遊詩人に憧れてながら、いつも歌を歌っています。
 村では誰も指摘しない中、ある日森の中で出会った魔物に音痴な歌を歌うなと怒られてしまいました。
 そして、その魔物は正しい音を教えてくれたのです。
 魔物はとても歌が上手く、ティノはそれから魔物に教えてもらうことにしたのですが……。

 この作品はタイトルがこの物語の問いであり、最後まで読むとその答えが分かる物語となっております。
 魔物はイメージ的に悪いイメージがありますが、この魔物は優しくとても素敵です。
 また、健気に頑張るティノも大変可愛いです。
 心温まる素敵な物語を今一度ご覧ください。
 

巡り来る未来が豊かなものでありますように~吟遊詩人の卵の奮戦記~

妙なる調べと美しい声で人々を魅了する吟遊詩人。
『出会いは南の塔に』の名バイプレーヤーであり、その前日譚に当たる本作の主人公ティノも、そんな吟遊詩人になりたいと願い、日々歌の練習に明け暮れるハーフエルフの少年です。

まだまだ幼く、世界の理など何も知らない彼は、ただ歌うだけに一生懸命ですが、偶然にも一風変わった者と知り合ってからは、歌うたいとして大切な事を学んでいくのでした。

親から子へ、そしてその子へと大切な想いが連綿と受け継がれていくように。
数多の命が芽吹く穏やかな春情の中で……
突き抜ける蒼穹と雄大な入道雲が眩しい夏の日に……
秋陽に照り映える目に鮮やかな紅葉に包まれ……
そして、凍てつく冬の晴れ間に一面の雪野原の上で……
悠久の時を経ても色あせない歌を紡いでいく吟遊詩人。

ティノの未来がそうであったならと思わずにはいられない作品です。
皆様も優しい世界を堪能してみませんか?

この世の中に満ちているのは……

  • 投稿者: 古森 遊   [2021年 09月 10日 12時 55分 ()]

目には見えない存在におびえながら、毎日毎日、息が詰まるような思いで過ごしてる今日この頃。
でも、この世の中にあふれているのは、目に見えない恐ろしい物だけではなかったはず。
どうぞ、この物語を手に取ってみてください。
優しい歌声と、のどかな風景と、無邪気な子どもの目線が教えてくれます。
この世には、素敵なものがあふれていたんだなって。
読み終えた時、あなたが思わず口ずさむのはどんな歌?
ふと心の中に響くのはどんな音?
それがどんなものだとしても、きっと読み始める前よりも明るい気持ちになっているはず。
「のんきに小説なんて読む気になれない」
そんな気持ちの時にこそ、お勧めしたい物語です。

吟遊詩人をめざす、とんがり耳の少年と森の魔物のおはなし。その歌声に耳を傾けて。

  • 投稿者: 汐の音   [2021年 09月 09日 17時 52分 ()]
ファンタジー作品は好きですか?
村はずれの豊かな森の奥に、一本の木があります。
主人公の少年は歌うことが大好き。
だれに教えられることもなく、きれいな声で一生懸命元気よく歌う姿は可愛らしく、村人や、育ててくれたおばさん夫婦もとても良くしてくれます。

でも、少年は草木の種が自然に芽吹くように「音楽」が湧き出るのを「声」にしてメロディーに乗せるだけ。まちがって覚えた歌を直すひともいませんでした。

そんなある日。
少年にずばっと間違いを指摘したのは。

なんと、木に巻きついた魔物…………!?!?

作者さまが丹念に築き上げるシリーズの前日譚とありますが、もちろんこの一作品だけでも読みごたえがあります。
果たして、少年は憧れの吟遊詩人に近づけるのか?
魔物の正体は。

どうぞ、手にとってご覧ください。
胸に残る、やさしく切なく満たしてくれる「音楽」と、出会えるはずです。
↑ページトップへ