イチオシレビュー一覧

いつもは静かな御神域も今宵はどうにも姦（かしま）しい。
それもその筈で、妖である烏天狗の次男坊の祝言とあって、参集した古妖どもが振る舞い酒片手に盛り上がっているともなれば、それも当然なのかもしれません。

そんな祝いの席に招かれた親族の烏（からす）。
彼は一の杜の烏天狗を統べる総領息子であり、超常の妖でもあります。
しかし、その目出度き祝言の裏では厄介事が起こっているようで……。

前作『あわいさの茶屋』の主人公である烏と天音の物語。
前作からの読者には待ち侘びた。
初めて御来訪の方々には、和ティストを満喫できる秀作としてお勧めのラブストーリです。
作者様の美麗なグラフィックと併せてお楽しみください。

数百年の時間を経て、破鏡重円の刻を迎えたふたりの甘い恋模様を御堪能いただけますれば幸いであります。
烏と天音。そして妖一同と共に、皆様の御神域への御来訪を心よりお待ち申し上げております。

夏の夜。神域とされる山の頂で親族の祝言に招かれていた烏天狗の「烏」は、会場の様子がどこかおかしいことに気付く。

何やらトラブルが起こったようだ。今宵烏天狗の花嫁となるのは、普段は相容れぬ領域に住む人の子の花嫁。

祝いの席には人の男を頭からかじるのが大好きな美しくあだっぽい鬼女、あかあかと燃える焔猫。一つ目小僧に蛍火の精……中には一癖も二癖もあるあやかしの姿も。

果たして花嫁は……

生き生きと描かれるあやかしたちの姿と美しい世界観にいっきに引き込まれてしまいました！

長い長い時を生きるあやかしの一途すぎる愛にくらり。ようやく手の届く場所に戻ってきたたった一人の愛する彼女とのもどかしいほどの温度差。思わず頬がゆるみます。

でも二人の温度差もきっとあともう少し……

とっても読みやすい和風ファンタジー。すべての人に自信をもっておすすめできる作品です。ぜひ読んでみて下さいね。