イチオシレビュー一覧

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この作品を読もうか迷っているあなたへ

  • 投稿者: 合ノ介   [2023年 09月 13日 13時 59分]
この作品の第一話を見て、きっと困惑しているかと思います。
まず、掲示板形式。登場人物はほぼ全員コテハンやあだ名で呼ばれていて、誰が誰だか。特に最序盤は読者にお構いなしにどんどん話が進んで行く。けれど、その特殊性を恐れないで欲しいのです。あなたの目の前に広がっているのは、素敵な物語なのですから。
その世界には、人間と魔物がいがみ合いながら存在していました。そんな中、復活した魔王を討伐するためにある少女が立ち上がりました。ただ彼女が知らなかったのは、魔王討伐物語とは魔物側が演出する茶番であり、しかも仕掛け人たる魔物たちは神にも等しい能力を持っているということです。しかし、魔物たちのシナリオも一筋縄ではいきません。というのも、魔物たちの管理人たる少年、通称子狸があまりにも天然で、ナチュラルにシナリオを崩壊させてしまうからです。
大体コメディ、でもシリアスもある。素敵な童話をお楽しみくださいませ。

今なお色褪せない2011-2014年の掲示板?小説

  • 投稿者: 古土   [2023年 02月 23日 05時 57分 ()]
掲示板形式と聞いて読み始めると冒頭で面食らうかもしれません。レス番号が何故か漢数字、発言者が全員ハンネ付きな上数が多い、文体が独特、事情が全然掴めない、etc。しかし魔物たちの掲示板の管理人(通称子狸)と勇者が出会って旅が始まると、俄然面白くなってきます。

何が面白いって子狸の一挙手一投足です。この物語は神のごとき不死の魔物たちが魔王討伐譚(※魔王役は出発時点で未定)を演出するお話ですが、一番「思い通り」にならないのは仕掛け人側のはずの子狸でした。彼は常に期待の斜め下(上)を行くバカで、けれど掲示板を追っているとどうしても好きになってしまう。このキャラ造形が見事。基本コメディだけど情が深く執念も深い魔物たち、シビアだったけど徐々にボロが出る勇者さんも素敵です。

また、謎めいた世界観設計と各所の仕掛けには凄みがあります。自作自演の果てにある魔物たちの悲願とは一体何でしょうか?
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