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登場人物二人とも魂が孤独です。だから、傷つき傷つけることを極度に恐れます。それでも時がその壁を否が応でも溶かして行く。優しい世界をお楽しみください。

  • 投稿者: 水渕成分   [2021年 08月 13日 23時 13分]
7817字の異世界恋愛。しっとり落ち着いた感じの文章はとても読みやすいです。

物語は第三者視点で綴られ、登場人物は二人だけです。

一人は森の奥の小さな家に住む推定二十代前半の成人男性エア。藍色のローブを身に着けた魔法使い。

もう一人は推定七歳の少女ミレーヌ。彼女は大人たちによって捨てられたのです。森に。

エアはミレーヌを自分の家に入れます。子どもは幸福な「子ども時代」を生きなければならないという信念があるからです。

エアはミレーヌの親になり、先生になり、友だちになります。

幸せな時は瞬く間に過ぎ、十年が経ちます。ミレーヌは大人になり、そして……

ここから先は実際に読んでお確かめください。

二人とも魂が孤独です。だから、傷つき傷つけることを極度に恐れます。それでも時がその壁を否が応でも溶かして行く。優しい世界をお楽しみください。

ほっこりとさせられる異世界恋愛

殺伐とした物語を読むのは好きだけど疲れてしまった。そんな方はいらっしゃいませんか?
レビュータイトルの通り、こちらの作品は読むと心がほっこりします。

たとえば……

>ああ、そうか。
>寝ている子どもは重いんだな。

(本文より引用)

上記は、わたしが何よりも本作を推したい表現です。
ファンタジーなのに、この表現によってリアリティが生み出されているように感じるのです。

テーマは【子どもの頃の友だち】。
ということは現在、主人公は大人になっているということです。
回想するパターンもあるでしょうが、本作の場合は子どもの頃に出会って大人になるまでの時間が、8,000字弱のなかで丁寧に描かれています。

登場する食べ物(お菓子)も美味しそうで、とっても心が満たされますよ♪
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