イチオシレビュー一覧

聖女と認められた農民出身の少女は王太子との婚約を命じられたものの、王城では侮られるばかり。
王妃教育を授けるよう少女を押し付けられた侯爵一家は優しい侯爵夫人を亡くし家族はバラバラ。
彼らが出会い、凍っていた心を開いて手を重ね合わせて涙する場面がこの作品で一番好きです。

侯爵一家に愛された少女は教えられることを素直に吸収し、侯爵領には祝福が降り注ぎます。
王城に迎えられた少女は慈しまれることなくただ感謝せよと押し付けられるばかり。王家が期待した聖女の祝福が与えられることはありません。
王太子の不貞から婚約解消となり少女は侯爵邸に追い返されてしまいますがそれこそが少女の密かに望んでいた未来。

戦う聖女、癒しの聖女、色々な聖女のお話がありそれぞれ心躍るものですが、愛され慈しまれることが聖女の力を解放するとするこの作品は読む者の心をぽかぽかさせてくれます。