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努力と世界観が瑞々しく美しい、爽やかで少し切ない物語

  • 投稿者: 空野 奏多   [2021年 08月 22日 16時 42分 ()]
自分にも、夢はあるだろうか?
何かに一途に、取り組んだことはあるだろうか?

そんなことを思い返したくなる、とある女の子の成長の物語。

少し寂れた小学校に入学した日。
主人公ゆずは不思議な少女、瑠璃と出会う。
彼女はピアノがとても上手で、そこにしか現れない。
そんな「ピアノの妖精」との秘密の交流を通し、ゆずはピアノの世界へのめり込んでいく。
田舎町の恵まれない環境、理解のない両親、唯一の同級生でランナーの道を目指す颯くんとも交差しながら。
織りなされる、青春の物語の結末とはいかに。

読了感が切なくも温かい素敵な作品です。

本作は仙道アリマサ様主催の「仙道企画その1」参加作品。曲を聞いてそこから物語を作るという、新たな試みも面白い作品です。
短編とは思えぬ満足感を、ぜひご堪能ください。

映画のような美しい作品

山間の村にある公立小中一貫校が舞台。

ピアノが大好きな少女〝ゆず〟

駆けっこがとても速く、いつもひとりで走っている男の子〝颯〟

同級生は二人だけ。

そんな二人が中学を卒業するまでの9年間を描いた作品。

〝ゆず〟にはある秘密があります。それは彼女にしか見えないピアノの妖精の存在。

音楽教師も、ピアノ教室もない環境で、妖精に導かれながらピアノにのめり込んで行く〝ゆず〟と

全国屈指のランナーへと成長してゆく〝颯〟

ラスト、卒業式のシーンでは涙が止まりません。

全ての子どもたち、そして大人たちに読んでもらいたい作品です。

タイトルにあるバトンの意味も読めばわかります。


仙道アリマサ様主催「仙道企画その1」への参加作品ということで、作品の背景となっている曲があります。

聴きながら読むとより一層物語が際立ちますので、ぜひ。

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