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裸足で湿地を渡ったら

 敗戦処理とはある意味でババ抜きのようなもので、押しつけられた側は無理にでも笑って引き受ける他はない。好きでそんな立場になったのでもないだろうに、頓珍漢な迷信をかぶせられてまで追われてしまった主人公の苦衷は察するに余りある。それはまさしく、瘴気漂う腐敗した湿地を裸足で歩かされるような心境だったろう。
 いつの時代でも、立場の弱い人間はもっともらしい理屈と共に犠牲を強いられる。その一員である主人公が、ある種の条件を経てああなるのは(詳細は本編にて確認して頂きたい)まさしく価値観の革命であろう。
 輝かしかるべし。
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