イチオシレビュー一覧

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良質で背中に走る寒気が心地よいホラーのお手本のような作品です……

さて、皆さんは姦姦蛇螺という怪異をご存知だろうか?
私は今作の題材を初めて知り、面白い素材になるぞと期待していたが、作者は私の期待を良い意味で見事に裏切ってくれた。
この作品は怪談をそのまま使うのではなく、その伝承をそのままに新たな恐怖を作り出しホラー小説としたものだ。
見てしまったらもう後には戻れない。
それは必ずやってくる……あの女、姦姦蛇螺はやってくる……
このお話の主人公は、本作の本当の意味での被害者だろう。理不尽に巻き込まれた人だと言って良い……だがこの理不尽さこそがホラーの醍醐味なのだ、絶望に見回れる理由なんて無くて良い。
そして、ここで姦姦蛇螺の原義のエピソードを思い出してみればこの物語を違った意味で……恐怖とはまた違うやるせなさを感じることが出来るだろう。
背筋に氷柱を流し込まれる感覚と何とも言えない寂寥感を味わえるこの作品、ホラーファンには是非ともオススメいたしますよ!
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