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道を一本間違えたような雰囲気の世界と、好奇心旺盛な愛し子のお話

  • 投稿者: 滝野迅夜   [2023年 07月 04日 15時 19分]
此処は妖達の暮らす場所、妖鏡。洗濯物を干す棒人間やスーツを着たカッパ、二足歩行の際どいポメラニアンに見た目だけ綺麗な狐様、そんなちょっぴり変な存在たちも当たり前に暮らす街。
決して人間と同じルールで動いているわけではないけれど、彼らはごく普通の日常を過ごしていて、主人公(人間)はそこへ絵を描きに訪れる。そんなお話。
主人公は何というかほわほわしていて、目を離したらふらふらと何処かへ行ってしまう仔猫と言われる程。しかしそんな主人公の視点から語られる妖鏡は、違う世界らしい違和感や発見に満ちている。この物語の魅力はそこで、比較的淡々とした語り口調に対して、語られる内容は非日常で、でもって行動は仔猫ちっく。しまいには首根っこつかまれてるあたりほんとに。
あと言葉選びのセンスが良く、小気味良い言葉が揃ってます。
ちなみに主人公は前世の記憶があり、死因は味噌餡柏餅ですが今も味噌餡を布教中です。
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