イチオシレビュー一覧

　まず何を差し置いても、引き込まれる語り口。ほんの数行読んだだけで「あ、これ面白いやつだ」と惹きつけられました。お葉さんの語りで進んでいくお話ですが、段々と舞台でも見ているような気持ちになってきます。

　そんなお葉さんの亭主の良庵先生は「やぶ医者」の顔を持っています。タイトルに「やぶ医者」とありましたので、ちょっとワル系の亭主なんだろうなと思って読み始めましたが、見事なまでに先入観を粉々に砕かれました。ヤブはヤブでも二重の意味がありまして、これはぜひとも詳しい説明と共に作中でご覧ください。

　良庵先生とお葉さんのほのぼのとした純愛はもちろんのこと、夫婦を取り巻く人間模様も賑やかで読者を飽きさせません。
　ほのぼの、ラブラブ、もふもふ、でも時にシリアスなこちらの世界をあなたも覗いてみませんか。色々と出てきた伏線がどのようにして回収されるのか、どんな展開が待っているのか今から楽しみです。