イチオシレビュー一覧

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無力なエルフは殴られて初めて役に立つ

エルフの森が燃える。ファンタジーのそんなお約束を独自の切り口から描いたのがこの小説です。現時点で未完ですが、以前カクヨムに掲載されていたものを完結まで読んだ上でのレビューとなります。

主人公は無力なエルフの少女です。
灰色と呼ばれる被差別階級に生まれ育ち、そのせいか卑屈屋で根性なしで、屁理屈ばかりを並べ立てては呆れられる、そんな少女です。

彼女の目線から語られるエルフ社会の歪な構造、その歪な構造ゆえに事件が起き幕を引くまでの一部始終。

物語の主人公である彼女、アンネメナスはヒーローではない。
事件の調査には駆り出されるが、事件を解決することはできない。
始まりから終わりまで彼女は無力で、結果を見れば何を成し遂げることもなかったかもしれない。

けれど彼女の矜持や生き様は、筆者の胸に焼きついて離れなかった。今偶然このレビューを読んだ方々にも、是非彼女の物語の行方を見届けてほしいと思う。
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