イチオシレビュー一覧

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現代的価値観で描かれる家族と男女の物語

主人公であるセレスティーヌは夫がいながらもお互いを好いておらず、戸籍上だけの夫婦関係。
加えて彼は多くの愛人を持つプレイボーイで、彼が愛人との間に設けた子供を育てるという契約が交わされます。
彼女はその上で子供は5人までと決め、血縁関係がないながらも彼らを自立できるようにと育て上げるのです。

そんな彼女は、夫が6人目の子供を設けたがことがきっかけで離婚を決意します。
その中で、新たな出会いや本当の恋、絡みついてくる元夫との関係等が描かれるのです。

当作は「子供を作らないことだって正しい男女関係」「女性が女性である以上求められる役割の否定」
等など、現代的価値観が描かれており、しかも小難しい話などを避けてくれているのでスラスラ読めます。
真面目な主人公が理解者を得ながら行動していく物語であり、読んでいると何か勇気が湧いてきます。
そんなセレスティーヌの姿を、恋を、見届けてみませんか?

大人の初恋に胸が震える、そんな素敵な物語です。

  • 投稿者: 北里のえ   [2022年 02月 24日 20時 48分]
セレスティーヌは逆境とも言える状況でしっかりと地に足をつけ、自分のやり方で幸せを育んでいきます。彼女の真っ直ぐな優しさが、歪んだ家族に真っ当な愛情をもたらしました(子供たち限定)。しかし『せめてこれだけは守って欲しい』という約束まで反故にされ、今度こそ自分のために生きていこうと決めたのです。

子育て中は幸せもありますが『自分』が一番後回しになります。『自分』のやりたいことが出来る、そんな新生活で出会った一人の男性がいました。しかし、彼には深い心の傷があったのです。

彼女の優しさは凍土のように固くなった男性の心を少しずつ温め、解し、癒していきます。その過程がとても自然でただただ二人を応援したくなります。そして、同時にそれは彼女が負ってきた傷を癒す過程でもありました。

登場人物の個性にリアリティがあり、それぞれがとても魅力的です。是非多くの方に読んで頂きたい素晴らしい作品です。

公爵閣下のイクメン宣言

  • 投稿者: 真珠姫   [2022年 02月 12日 23時 59分 ()]
主人公は実家の窮状を救う為公爵嫡男と契約結婚した十六歳の子爵令嬢。実態は婚姻と言うよりも婚家に就職したようなもの。

婚家からの条件は
 夫が愛人を持つ事を容認する。
 愛人が産んだ子供は主人公が引取り責任を持って養育する。
 婚家の繁栄に尽力する。

主人公側からの条件は
 夫と愛人は別館で生活する。
 子供は五人まで。
 後継者の決定権は主人公。
 主人公が離縁を望めば速やかな同意を。

子育てに追われて夫の為人さえ知らぬまま、婚家に尽くした二十年間。
六人目の子どもという契約違反をきっかけに離縁成立。

隣国で巡り合った年下の青年公爵は幼少時手酷い侮辱を受けたトラウマを抱えている。

彼のことは好きだがもう子育ては嫌だという彼女に、産むのはお願いしたいが育児は任せてという相手役さんの言葉に彼女の凝り固まっている心がほどける瞬間に息を飲む。

これぞ大人のシンデレラ物語。
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