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過去は変えられなくても

言わなくても良いことを言ってしまい、誰かを傷つけてしまった経験は誰にでもあるだろう。そこに悪意がなかったとしても、むしろ無かったからこそ、どうすれば良かったのかわからず後から苦悩する。
本作の主人公は、そんな経験の中でも最も重い悲劇を起こしてしまった過去を持つ。

そこからの人生は、全てその経験が後を引いている。罪の意識と、ちゃんと生きなければという強迫観念から毎日が空回りしてばかりの、鬱々としていて辛い日々。周りの無理解や世間からの風当たりの強さは、本当に辛い。この生き辛さは、読者にも心当たりがある人は多いはずだ。

原因が過去にあるのだから、それは変えようがない。けれどこの話は、そこからさらに踏み込んでいく。
過去は変えられなくても、これからは変えられる。過去を顧みるのは大事だけど、それに囚われてばかりではいけない。
視点を変えて過去を見れば生き方は変わる。そんな前向きさも感じられた。

生き辛くて、それでも生きるしかないあなたへ

  • 投稿者: 退会済み   [2023年 05月 24日 16時 25分]
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主人公・古見理英(作者様?)
彼女は親友を自殺で亡くし、毎晩その夢を見てうなされている。
いわゆるトラウマというやつだ。

この世の人間は、誰しも必ず悪夢を見るときがある。
酷いのになると、『今晩は、あの夢を見ないで済むだろうか』とまで思う始末。
しかし、起きていても見る悪夢は何と言うのだろう?
白昼悪夢?
全身を包み込むようなその理英の夢は、いつしか夢と現が混ざり合っていく。

「こんなに頭の悪い大人になる予定じゃなかったのに……」
物語終盤のこのセリフ。
自分を抉られているかのようでドキッとします。
求めていた理想は、いつしか妥協した現実に塗り替えられて。
理想通りの人生を歩めている人もそうそう居ないだろうと自分の中で勝手に決めつけてしまいがちです。
それでも凡人は死ぬまで生きていくしかない、などと考えが固まっては散っていく。
「頭の悪い大人になったんだなあ」と思ってしまいますね。

ある少女が叫びたくても叫べなかった魂をここに――

∀・)こんばんわ。なろう作家の生吹様が手掛けられた『ミサキ』はマジで名作です。すんごい名作です。部屋を真っ暗にして読んでみてください。バッチリですよ。いでっちです。


∀・)本作はミサキという友人を亡くした少女が20歳の女性となり、大人となった今なおもその事に苦悩する物語です。ゆえに話の内容じたいはとても重い。でもとても重いがゆえにすごく尊い。僕は本作を読みながらそんな何とも言えない感動に襲われました。ここで描かれているリアリティはまさにそれほどの至高だったという事。


∀・)作者はずばり本作の主人公である古見理英様!?この演出にもやられてしまう傑作。生吹氏の手掛けられたホラー作品である『ミサキ』と合わせて読んで欲しく思います。

PS:10周年おめでとう☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡
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