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才能ある男を愛した経験があるなら、この『男』の陶酔ぶりを愛しく思うだろう

  • 投稿者: 日置 槐   [2022年 02月 09日 11時 35分]
音楽を生み出す『男』は、その才能で栄光をつかむことを望んで生きてきた。

彼に必要だったのは愛ではなく、その欲望に忠実に寄り添う友。
己の才能を無条件に賞賛してくれる「幻のレディ」を求め、『男』は結婚と離婚を繰り返した。

そんな『男』にとって、新しい世界への通行証となったのは、偶然知った『息子』の存在。

『息子』の母親は、かつて夢を語り合った同志。
その過ぎ去った日々の思い出を象徴するのが、不朽の名作映画「カサブランカ」だ。

『男』の感傷的な自己陶酔が、物語全体に散りばめられた「カサブランカ」の色彩で飾られます。
そのキザなナルシストぶりが、まるで映画の主人公のように、ため息が出るほどカッコいい。

最初から最後まで漂う「カサブランカ」の空気に、センチメンタルな哀愁とロマンチックな郷愁が流れ出します。

映画好きな人にオススメの物語です。
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