イチオシレビュー一覧

この作品を読んで学生時代のバレンタインを思い出した。
あのどこかそわそわとした雰囲気を思い出すのだ。
あの人は誰からチョコを貰うのだろうか。
そして、あの人は誰にチョコを渡すのだろうか。
そういうどこか探っているような雰囲気を思い出すのである。
あの日が遠くなっていく。
その人の人柄だけを見た恋愛が大人になるともうできない。どうしても必要なのだが社会生活には欠かせないもの達を背後に見てしまうのだ。
あの日の純粋な恋心を思い出す作品である。

作者様ご本人が主催の「バレンタイン恋彩企画」参加作品です。

字数は２８２８字。ニヤニヤですね。ジャンルは純文学ですが、恋愛要素もたっぷりです。

主人公は男子高校生大志（たいし）。物語は彼の視点で展開します。

彼が思いを寄せるのは同い年で幼馴染みの奈由（なゆ）。

だけど、彼女は今度のバレンタインで憧れの先輩にチョコを渡すと言っています。

苦しい胸の内を隠し、奈由に励ましの言葉をかける大志。だけど……

ここから先は実際に読んでお楽しみください。

タイトルを今一度ご確認ください。「憧れ」と「恋」とバレンタイン。「憧れ」と「恋」が並列に置かれています。これは？

この作品を読んだ時、あなたはきっと、若さ(？)を手に入れるでしょうーー。

そんなことを書きたくなってしまうようなときめきに満ちた作品……それがこちらの作品なのです！！

似ているけれど違う。
そんな二つの感情を愛らしく描いています。

登場人物がとても魅力的で、読んでいてうっとりします。

ぜひ皆さんもこの作品を読んでください。

そして、素敵な世界に浸ってください。

幼馴染みの菜由（なゆ）に想いをよせる大志（たいし）。バレンタインの日に、菜由は憧れの先輩にチョコレートを渡すそうです。

「たとえ叶わぬ恋だとしても、友人としてでも傍にいられるだけでいい」

自らの想いは秘めたまま、大志は菜由を応援します。

そして、いつもの帰り道。
先輩に告白したのか、大志が菜由に聞くと…？

「同じ好きでも、憧れと恋は違うの」

菜由の言葉に、胸が揺さぶられました。
たくさんの意味がある「好き」。

バレンタインだけではなく、ささやかな恋愛を楽しみたい人にオススメです。

高校生・大志が幼馴染みの奈由に寄せるのは「自分のことを好きになってほしい」という強引な想いではなく、「奈由に幸せになってほしい」という献身的な思いだ。彼女がバレンタインのチョコレートを渡す相手・先輩と結ばれることを願っている。

――が、頭ではわかっていても心がついてこないって、年頃のニンゲンにはありがちだ。

好きなひとと結ばれてほしい。
でも、できることなら自分と一緒にいてほしい。

そんなふうに考えるものだから、大志は悶々としながら一日を過ごすことになる。

放課後になっても、複雑な感情は変わらない。

先輩にきちんとチョコを渡せたのだろうか。
ちゃんと告白できたのだろうか。
うまくいってほしいようで、うまくいってほしくない。
複雑、複雑、複雑……。

さて、二人の結末はどうなるのか――。

若者のピュアな恋心を描いた２８２８文字の純文学。

ぜひ最後まで見届けてもらいたい作品だ。