イチオシレビュー一覧

主人公はそのタイトルの通りジョニー・カイルという一人の男です。
天賦の才に恵まれていたはずの彼の人生は、生まれながらの貧しさゆえに徐々に歪んでいきます。
しかし、日々を送る中でジョニーの心持ちも変わってきて……そんな彼の人生を淡々と描いている作品です。

私たちの人生は毎日ドラマが起こるわけではありません。
ひとつずつの出来事の積み重ねが人生を作り上げていく、その過程をこの作品は静かに描ききっています。
さて、ジョニー・カイルは本作でどんな結末を迎えるのか。
是非あなたにも見届けて頂きたいのです。

性欲丸出しでどうしようもないクソみたいなガキが、家を出て女と出会い、まっとうな人間になっていく。
そのプロセスを淡々と描いた物語だ。

タイトルにもある通り、この物語の主人公はジョニー・カイル。
彼の人物像を想像するのに十分なほどの情報が書かれているが、読み終えてもこの人物がどのような人なのかいまいち分からない。
というのも、ずっと彼の半生が淡々と語られているだけで、彼自身のセリフがほとんどないのだ。
それがこの小説の特色ともいえる。

セリフのない主人公。
彼の半生を振り返る物語。

どうしても私にはジョニー・カイルの姿が想像できない。
それでも一つだけ分かることがある。

彼は本当の意味での愛を見つけたということだ。