イチオシレビュー一覧

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挑戦に、作者の愛が混じり合っています

読むのが遅くなりましたが、最後まで読みました。
まずは完結お疲れ様でした。

今作で作者様は、なろう系の長文タイトルに挑戦し、内容もライトな雰囲気を醸しだそう頑張っています。
その挑戦自体まず素晴らしいことです。
小説を毎日連載することも本当に大変だったと思います。

でも、それだけではなく物語の節々で作者様が大切にしている愛の形やファンタジョー要素を存分に味わうことができます。
読んでいて、とても楽しかったです。
また、前作と同様に言葉を大切にしていることも強く感じました。
言葉を大切にする私としましても、心地よく読めて、ここにこだわっているなと少しわかり、より楽しく読めました。
また次の作品も楽しみに読ませてもらいますね

現代社会にも通じる人間と自然の物語

  • 投稿者: 黒笠   [2022年 06月 26日 11時 28分]
 まず情景描写の一つ一つがとても丁寧で言葉遣い、表現からして美しく、まるで絵画を見ているかのような作品でした。小説を書かれる方にとっても、勉強になるような書きぶりでした。そもそも場面の設定から美しく作り上げるというのが難しいことで、それを毎話こともなげにされる作者様の技量に感服です。

 内容面については、人間社会の発展と古くから人に恵みをもたらしてくれた竜との関係が大きなテーマとなっています。竜をそのまま自然、と置き換えて考えると現代社会の人類の有り様についても思いを巡らせられます。ネット小説でここまで真剣に人類の行く末を考えられる作品はそうそうないと思うのです。

 毎話、読み応えがあって、とても良い作品でした。私としては手放しでおすすめできる作品です。
 少しずつでもじっくり味わって、楽しめるのではないかと思います。
 拙いレビューで恐縮です。

竜を愛し、竜を葬る

  • 投稿者: 左京ゆり   [2022年 03月 27日 20時 10分]
この世界には、竜がいる。

満点の星を散りばめたように輝く純白の竜。
金塊の鱗と翡翠の翼をはためかせる宝石のような竜。
角に葡萄の蔓を巻きつけた青藍の竜。

竜はひとを愛し、恵みを与えた。
ひとは戦で争い、竜の慈愛を忘れた。
そして竜が悲しみに嘆くとき、森は息絶え、湖は氾濫し、天から星が地上に落ちる。

少女は竜を愛し、竜を葬る旅を続ける。
「わたしはこれからも、これまでも、竜殺しですよ」
青年は竜を愛し、少女に憐れみをむける。
「いっそ、どちらかを棄てられれば、おまえは楽なのにね」

竜を愛しながらも人間を護ろうとする少女・メリュがたどり着く旅路の果てとは?そして竜を愛する青年・ラグスの目的と、ふたりの心の行方とは?


『死者殺しのメメント・モリア』(メディアワークス文庫・角川書店)の夢見里龍先生が紡ぐダークファンタジー。文明の陰で滅びゆく竜と少女の幻想譚に心が熱く震えます。

愛する者を、殺す旅

  • 投稿者: かなめん   [2022年 02月 19日 15時 03分]
少女がいます。痩身に蒼き幻灯を纏い、槍をたずさえております。彼女は今から竜を殺すのです。寿命以外でいのちを終えることはないと言われている、あの竜を。しかし少女は竜を愛しています。少女は愛する者を殺すというみずからの動きを、どう捉えているのでしょうか。
静かな吐息が、灰色の空へと舞い上がっていくようです。
あなたには好きな人がいますか。
あなたには好きな家族がいますか。
もしも愛する者を殺さなければならないという宿命を負ったさい、あなたは最後にどんな言葉を述べるでしょう。
この物語の少女はかく語りました。

「せめても終わらせましょう」と。

そんな、少女の物語。
開幕です。

竜と美しい少女による本格的ファンタジー

描写力に定評のある書籍化作家様による本格ファンタジーの開幕です。
女性の描写にとりわけこだわりをお持ちな作家様だけあって、今回も冒頭から主人公の少女に惹きつけられました。

さらには竜の美しいこと……! 始まったばかりですが、このお話の「竜」という存在に魅了されております。

以下に一部引用させていただきます。

≫翼膜にはたおやかに絡みあった骨格が透けていた。星を繋いだときに表れる線のような、精緻な紋様を模った竜の骨だ。細やかで美しい紋様は、生物のからだにもとから備わっているものというよりは、優れた細工師の手掛けた彫金を想わせる。竜の頭から腰までを覆うなめらかな鱗は蜥蜴とかげとも蛇とも違い、朝露に濡れたはなびらのような清らかな艶を纏まとっていた。

美しい白い竜の姿が目の前にありありと浮かぶようです。
本格ファンタジーがお好きな方、確かな文章力の小説をお探しの方に、ぜひお勧めしたいです。
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