イチオシレビュー一覧

元夫の離婚後の手続書類署名の場面から始まります。

没落寸前の伯爵家は裕福な子爵家から妻を迎え息を吹き返します。
嫡男誕生後は夫は妻を顧みず夫の両親も彼女の持参金の恩恵に与りながらも彼女や孫を慮ることなく、その様子に執事や侍女長をはじめとする使用人たちは二人を蔑ろに扱います。
妻は自分の置かれている状況の異常さはわかっていても息子の為に耐えています。
打開の必要性に先に気付いたのは息子。彼の味方づくりには脱帽。真に優秀な息子です。

重い作品ではありますが読み始めると読み切る迄止められません。
どん底を経験した妻と息子が尊重され心身共に満ち足りる居場所を得ていくので読み終えた時に半端ない安堵感に包まれます。