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傷にやさしく、あてがう手を

  • 投稿者: 歌川 詩季   [2022年 09月 06日 19時 56分]
 大切なものを、えぐりとられてしまった傷は、かんたんにはふさがりません。
 痛みをやわらげるため。流れ出すものを止めるため。
 その傷に。
 自分の手をあてがったり。誰かが、手をあてがってくれたり。
 でも、傷は、優しさであてがわれた手を、異物として拒みます。
 えぐりとられてしまった、大切なものの、かわりにはならないから。

 けれど。
 いつか、きづくのでしょう。その手のやさしさに。
 痛みをやわらげることは、えぐりとられた、大切なものに対する裏切りではないと。
 忘れないでおくべきは、痛みではなく、大切だったことなのだと。

「追憶の彼方」本編とともに、ぜひお読みください。
 あなたの大切だったもの。
 痛みが失せてしまっても、大切だったことは。きっと、思い出せますよ。
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