イチオシレビュー一覧

崩壊した世界、同じ光景の連続。
物寂しい砂の大地を旅する老婆が孤愁を紛らわせる唯一の手段。
それは、クルマのラジオから届く声だけだった。

　　「あれは……」

懐かしい橋脚、高速道路の一部分、遺物に引き寄せられていく。
そこに一体化して組み込まれた、三階建ての建築物を見つけた。
中で休めるか、建物の状態を確認する。

　　『では次の御便りを……』

荒野に残るラジオステーション。
一人ぼっちだった人形と、一人ぼっちだった老婆の出会い ――

私の声であなたが救われればいい。
あなたの孤独に寄り添えればいい。
私の知らないあなたが笑ってくれればいい。
私の言葉が届いてくれたらいい。

━━━━それが私の【希望】です。

これは……今より少し未来のおとぎ話。

機械人形と旅人の希望と優しさの物語。

ラジオのチューニングを少しだけ、いつもと変えてみれば、あたなにも彼女の声が……届くかも知れませんよ。