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思春期の恋愛は大きい振れ幅を持っています。地に足をつけた幸せに惹かれますし、妖しく危うい恋にも憧れます。そしてヒロインの気持ちは……

  • 投稿者: 水渕成分   [2023年 11月 11日 06時 13分]
家紋武範様主催の「あの一作企画」参加作品です。

5932字の現実世界恋愛。奥の深い作品です。

ヒロインは高校二年生の結衣さん。彼女には二人の気になる人がいます。一人は幼馴染みの浩平くん。もう一人は教室の片隅にあって孤高を保つ美女凜さん。

浩平くんのことは昔から知っているせいか腐れ縁みたいになってしまっています。それに対し、普段はクールで笑顔を見せないのに一学年下の奏ちゃんにだけは笑顔を見せる凜さんのことは気になって仕方ありません。

そんな中奏ちゃんが事故死。結衣さんの心情は複雑です。そして、凜さんと二人きりになり……

思春期の恋愛は大きい振れ幅を持っています。地に足をつけた幸せに惹かれますし、妖しく危うい恋にも憧れます。そしてヒロインの気持ちは……

秘密の花園。その世界に踏みこめる女子と止まる女子とーー

∀・)おはようございま~す。青春は青色と言いたいけど、どちらかというと紫色でした。いでっちで~す♪♪♪


∀・)本作はかなり特殊な恋愛小説。結衣ちゃんという女の子が主人公のおはなしになります。結衣ちゃんは凛ちゃんっていう女子をある出来事を機に気になってゆきます。しかしその凜ちゃんは奏ちゃんという女子ととても仲が良かったのです。ですが、その奏ちゃんはある日若い命を亡くしてしまいます。その葬式で目にも余るとんでもない出来事が起きるのですが――


∀・)この凛ちゃんっていう女の子がとにかく不思議な雰囲気を持っている女の子で物語の裏側を握っているワケですが、それが見えそうで見えない。ここにこの物語の特に面白味がある点があるのだと僕は感じるのです。そして本作を読む前、読んだ後でもいいです。ハーピストさんのレビューを合わせて読んで欲しい。


「青春は何色なのか?」


∀・)是非ご一読を――

透明な言葉の色を探して

 「青春」って何色でしょう。

 文字どうり、カラッと晴れた空の色?
 それとも、夕暮れに色づくオレンジ色?
 もしかすると、どこまでも遠い……セピア色?

 人の数だけある物語。
 いろんな思いに色付けされた、過去という名の物語。
 このお話は、そんな物語の一つを描いた作品です。

 近くて遠い、あの人を見つめる……ただの傍観者。
 どこにでもいる、そんな彼女の物語です。



 「……やっぱり、あなたには無理よ」

 あの人が最後に残した言葉には、どんな意味があったのでしょう?


 彼女がずっと見つめていた、あの人は。
 ヒロインだったあの人は、
 モンスターだったあの人は、

 どんな思いを、最後の言葉に込めたのでしょう?


 どこまでも透明なその言葉に……

 貴方なら、どんな名前をつけますか?
 どんな、色を塗りますか?
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