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ダークファンタジーには愛と狂気がよく似合う

  • 投稿者: 甲乙   [2022年 08月 11日 11時 34分]
 これはとても陰惨な物語です。
 復讐にとりつかれた狂気の騎士イド。不死ゆえに死を望む竜の娘クシー。そんな歪な二人の出会いから始まるダークファンタジーで、とても陰惨な、でも美しい物語です。

 二人の旅路は淡々と進み、淡々と人が死に、淡々と街が滅んでいきます。彼ら二人が、そうします。
 静かな中にも狂気が滲み出るイドと、徐々に「人らしく」なってしまうクシー。その関係は利害の一致のようで、戦友か主従のようで、あるいは父娘や兄妹、恋人か何かのようで。
 確かなのは、お互いにもう離れようもない程に依存しているということ。恋は盲目。愛は呪い。陰惨な破壊と殺戮の中で、二人の歪な絆だけがドロドロと輝いて見えます。

 物語は一章が終えたところ。イドの過去に何があったのか、彼の復讐とは。まだ謎だらけですが、破滅だけは約束されたような二人の旅路。それがどのような結末に至るのか、今後も目が離せません。
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