イチオシレビュー一覧

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「食べる」という行為が問いかける、共生と倫理の深淵

人食い人種・マグ族と、彼らを統治する帝国。
その狭間で揺れる言語学者テヲノの視点を通して、異文化の衝突が鮮烈に描かれる本作は、単なる物語を超え、読者に深い哲学的探究を促してくれました。

マグ族の風習を巡る謎は、読者を飽きさせず、物語に引き込んでくれます。詩的でリズミカルな構成は情景を鮮やかに浮かび上がらせ、臨場感を感じること間違いなし!

異文化理解の困難さと、それに伴う美しさを描き出した本作は、読後に深い余韻を残し、読み返したくなる至高の一冊と言えるでしょう。

生きるとは、命とは何か。

タイトルからして、初めはホラー感は否めないかも知れない。
しかしそういう作風ではなく、全体的に文学の要素を感じられる物語だ。
主人公の思考が読み進めるにつれて、手を取る様に分かっていくのが、また読んでいてスムーズさを感じられる。
そしてタイトルにあるように、やはり人食いシーンはあるのだが、最後の最後でその理由が分かる。
また、現実に事実としてそういう存在があった事について、おそらく作者はそれとなく、学んでいるの事にも気付かされる。
だからと言って難しい話でもないので、読んでみてまたそうした世界観を知るのも、良いのではと思う。
最期にこみ上げる寂然さは、一品。
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