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淡く光る二匹の蛍

  • 投稿者: みこと   [2022年 07月 24日 06時 38分 ()]
淡く光る蛍が二匹
蛍たちはお互いを確かめるように
優しく舞っています

それは、互いに慈しむように
それは、愛を囁く恋人のように
それは、人の心を癒すように
それは、迷う人の道標になるように
それは、光を纏う花のように
皆の心を暖かくします

蛍たちの愛は輝くように
わたしの心に響きます

その淡い花たちは
夏の夜に消えることなく
やわらかに光るのです
この詩のように

恋し恋しと鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす ※このレビューはネタバレを含みます。気になる方は先に本作をお読みください。

  • 投稿者: TiLA   [2022年 07月 19日 19時 40分]
蝉のように鳴かず輝くだけの蛍の光は
和歌の世界で忍ぶ恋の歌に用いられてきました。

本作は二匹の蛍が夏の夕闇に飛び交うさまを
映しながら終盤の「夏の夕闇は」を境に
叙景詩から叙情詩に切り替わっています。

その切り替えかたが巧みなため
ラストまで読み手はそれに気づきにくく、
最後がより印象的に心に残る作品となっています。

しかし、この作者様はなんと美しい詩を
書かれるのでしょう。
いつもその技量に驚かせられるばかりです。

「風の静けさ、風の清(さや)けさ」
「やさしくあたたかな、やさしくやわらかな」

といった韻の踏み方

「美しくも切なく
 はかなくも優しく
 透き通るようでいて深い」

といった表現、しかもこれは蛍の光のことでは
ありません

終盤の光を喩える言葉の連続に
まるで心地良い音楽のクライマックスを聴いているような
感動を覚えました。

是非ご拝読いただきたいと思います。
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