イチオシレビュー一覧

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古典を読んでの想いが昇華された、情動に圧倒される物語

  • 投稿者: farmfarm   [2024年 11月 07日 22時 25分 ()]
『モンテ・クリスト伯』という古典小説がありまして、無実の罪で監獄に長い間入れられた主人公が復讐するお話です。その中で主人公の恋人は別な男と結婚するのですが、なろう異世界で白い結婚が成立する期間に全然足りないくらいしか彼を待っていないので、読んでいて「え、早くない?」と思った読者は多分たくさんいました。私もそうです。

そして、やはりその一人だった作者さんが「この女はもっと痛い目見ていい」をコンセプトに『モンテ・クリスト伯』をモチーフとして書いた作品がこれになります。

被害者であるのは間違いない。しかし救いようのない不幸に陥ったのが自業自得であるのも間違いない。仕方がなかったかもしれないけれど、裏切ったのは事実。絶望に沈む女性と、そのきっかけを作った女性。二人の情動がとてもいい。そして最後。いったいこの後どうなってしまうのか。読み直すたびに必ず通しで読んでしまう素晴らしい物語です。

許されなかった者たちへの挽歌

  • 投稿者: 柿崎   [2023年 06月 23日 11時 40分 ()]
魔王討伐→最愛の相手との結婚→名誉と富を手に幸せになりました。
こんなお伽噺を信じながらも、最愛の相手の失踪後、生存を信じられず他の男に走ったヒロインが第一の主人公です。
様々な思惑が入り乱れて彼女を含め関係者の人生は変転していきますが、読者の目線からは『よくぞやってくれた!』と快哉を叫びたい気持ちが押さえきれない。
人は間違いを犯す。だが反省しているからと言って何でも許されると思うなよ?罪には相応の罰が不可欠なのに、昨今の『愛は全てを許す』的な詭弁でごまかす作品は多い。本作はそんな欺瞞を蹴飛ばす勢いがある。まずは読んでみましょう!後悔させませんから。

恋愛は戦争だ、はたして勝者は

魔界に出征した勇者と将来を誓いあった聖女、そして親友の話です
前半まではよくあるメロドラマの話でしたが
そこから最後まで一気に読ませます
なぜなら途中からあらぬ方向に向かうからです
なんですか、このシェイクスピアの悲恋物語にそうはさせるかと観客が乱入したような展開は
最近のなろうでも暗躍ものが増えましたが
これもそのパターンなんでしょうかねえ

結論ですがこれもひとつの戦争ものですね
意中の相手は奪い取るもの、恋愛は戦争だ
そのために周到な準備と計画を積み上げた某氏の勝利に終わりました
だからこそ読者はみな勝者に拍手を送ります
勝利おめ、お幸せに
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