イチオシレビュー一覧

僕が小説を書き始めたころに感じたことで、二つの難しい表現についての話があります。一つは日常的な出来事だけで話を紡ぐこと、もう一つはコメディです。特に日常の物語だけで１０万文字を埋める、というのはかなり高度な言葉の運用力と、ストーリーのスキルを求められます。この物語は、一部を除いてごく普通の人にも起こりうる、小さな悲しみと恐れ、後悔や嫉妬、喜びといった、親しみやすくもうまく書かないと白けてしまう内容で紡がれています。でも、安心してください。作者さんの高いストーリーテリングのお陰で、上質なコンソメスープを飲んでいるかのような深い味わいの物語を楽しむことができます。主人公は双子の姉妹、美夜と美月。その二人がケーキ屋で働き、ケーキ屋のマスター兄弟の栄、光とともに成長し、恋に落ちたりする物語。その中にはなろうではなかなかお目にかかれないような深い人間ドラマが描かれています。まとめ読みがおすすめです。

タイトルにもあります通り、正直書籍で読みたい作品ランキングトップ３に入っている作品です。

web小説というと急な展開や読者受けするような表現が本当に多く感じられ落ち着いて読もうとあまり思えない作品が多く見受けられます。
しかしながらこちらの作品は違います。
一話一話は短めでサクッと読むことが出来ますが、静かに進んでいく物語はずっと読んでいたいと思わせる素敵な文章と描写がそこにあります。

是非ご一読ください。

あ、あと、この作品を読む際にぜひ用意して貰いたいのは、紅茶とチーズケーキです笑（ギリシャ産のものが良いらしいですよ！）

ゆったりとした穏やかな空気の流れる場所というのは、きっと東京では貴重なものだろう。そう思うのは東京への偏見だろうか。
上京してきた双子の姉妹と、あるお店のオーナーとシェフ、そしてそれを取り巻く人々の物語。
ゆったり丁寧に描かれる物語は光も影も内包しながら優しく、穏やかに読み進めていくことができる。そして何より美味しそうなケーキがたまらない。
これはケーキが食べたくなる。チーズケーキにイチゴのタルト、その味を想像するだけで垂涎ものです。
もちろんそこだけに留まらず、誰もが思いを抱えている。心理描写も丁寧で、何を抱えて何を思っているのか、それを読者は見ることができる。
彼らそれぞれの心がどう動いていくのか。ゆっくりゆっくりと時間を動かしていくようで、目が離せません。
お好きなケーキを用意して、ぜひご一読ください。