イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

変わる良さと変わらぬ良さの両取り

 本作の節々に登場する現実で流行った楽曲やアニメの台詞の選び方が秀逸だと感じた。
時代と共に忘れ去られる可能性がある表現を好まない人もいるにはいるかもしれないが、本作に登場している作品を絡めた会話はきっと十年後だって惹きつけられる人がいるだろうと感じた。
それは、現在時点でそれらを知っている人だけが好感を持つだけではなく、未来でもきっと知る人がいて好きになる人がいるであろう作品を選んでいる作者の選択の妙なのだと思う。

 更にSNS等を起点に始まる本作からは新時代の幕開けのような感覚を覚え、胸が踊るような気がした。
本作はきっと、平成を抱きながら生まれた令和の物語なのだと思う。
変わりゆく時代の中で、変わらない事に囚われていては勿体無い。
けれど変わらない素晴らしさを忘れてしまうのも惜しい。
しかし、本作はその両方を上手く取り入れていて、過去と現在、未来をも繋ぐような物語の可能性を感じた。
↑ページトップへ