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諦めていた少女がささやかな幸せを得るまで

 触れたものを何もかも腐らせてしまう力を持った主人公の少女。
 彼女は生まれてまもないうちに教会の屋根裏に押し込められ、誰にも会うことなく、小窓から硬いパンが差し入れられる毎日を過ごしていました。
 ですがある日、そのパンに一輪の花が添えられるようになって……?

 1000文字のショートストーリーなのに内容が濃く、非常に面白いです。
 あたたかなお話が読みたい方におすすめ。ぜひ読んでみてください♪

全てを腐らせる少女。人生を諦めるしかないと思っていたが……。絶望から始まる逆転ストーリー!

『発想の転換』という言葉がこんなにピッタリ当てはまる小説もないでしょう。

 触れるもの全てを腐らせてしまうので、主人公は屋根裏部屋に閉じ込められています。人並みの幸せを全て諦めて昏い部屋の中にいる。

 でも考えてみてください。ミミズは枯葉を食べて栄養のある土に変えていきます。『物が腐らない世界』は『新しい物を何も産めない世界』とも言えるのです。

 そしてある日少女の世界が変わります。昏い屋根裏から光あふれる世界へ。区切られた狭い部屋からどこまでも続く平野へ。愛のない人生からかけがえのない愛へ。

 まるで舞台が場面転換するかのように一瞬でガラッと変わる。

 作者さんの手並の鮮やかさに唸りました。そして思いました。「この展開は盲点だった」と。

 素晴らしい読後感です。たった1000字でこんな豊かな物語が読めたこと。嬉しくて仕方ありません。

文字数だけで、感動は生まれない。「屋根裏部屋の少女は諦めていた」という千文字。

なろうラジオ大賞への参加作品です。
よって文字数は1000文字以内。
異世界恋愛ジャンルでは、超短編作と言えましょう。

ヒロインは、強すぎる魔力を保持するため、動植物を腐らせてしまいます。そのため、屋根裏部屋に一人、閉じ込められているのです。

ある時から、食事として届けられるパンに、一輪のお花が添えられるようになり、ヒロインの生活に、僅かな変化が訪れて……。

エンディングに辿り着いたあなたは、1000文字が織りなす本作の圧倒的力を、絶対感じ取るはずです!!
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