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幸せは新鮮なうちに使いましょう

 もしも、幸せを貯めることができるとしたら。
 大切な時にその幸運を使い、自分の人生を明るいものにできる可能性があるなら、躊躇うことなく幸せ貯金をしてしまうかも知れません。

 この小説の主人公は、生まれる前に神様から「幸せの貯金箱」をもらい、生まれ落ちた時からそれを持っていました。
 幸せを我慢していると、どんどん貯金箱に貯まっていく幸せ。
 しかし今ある幸せを後回しにすれば、それはすなわち現在は『不幸』ということ。
 受験には落ち、いじめに遭い、それでも幸せを我慢し続け……その果てに彼女の出した答えとは――?


 面白く、そして色々と考えさせられる傑作。
 おすすめです。

今ある幸せを逃すことは不幸の始まり。

幸せを使いたいときまで貯めておける貯金箱。あなたは欲しいですか?
最初、タイトルを見た時点で私は「良いなぁ」と思いました。きっとほのぼのした優しい物語なのだろうと軽い気持ちで読んだのです。

しかしこの物語では、この幸せの貯金箱はどうやら持つものを不幸にしてしまう効果を持つことが、主人公の人生をかけて判明してしまいます。

では、具体的にどういったことが不幸なのか。それは、“今起こりうる幸せ”を逃してしまうこと。
私はそう受けとりました。

本編を読んでも、あなたは幸せの貯金箱が欲しいと思えるでしょうか。私はこれを読んで、「要らない!」と、強く思いました。

考えさせられる作品です。惹き込まれやすい文体ですし、読んでみることをオススメします!
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