イチオシレビュー一覧

主人公は、クリスマスになるたびに寂しい気持ちになる。

母子家庭育ちの主人公は、両親と子どもが揃ってクリスマスケーキを囲む……そんなありふれたクリスマスを知らない。

そんな主人公も今では母になり、帰りを待ってくれる我が子がいる。
パパがサンタになって、ほしいおもちゃを買ってくれる、ケーキやごちそうを囲む。

ありふれたささやかな日常が、実はとても幸せなことなのだと染みてくる一作です。

本作は貧困家庭のクリスマスを描いた辛くも暖かい物語です。
日本は一度は豊かになりましたが、近年再び貧困家庭が増えてきており、こういったお話もフィクションの中だけのものではないと、姿勢を正して読ませて頂きました。
中盤までは辛い展開が続き、この親子になんとか幸せな結末が訪れてほしいと祈りながら読んでいました。
しかし、本作の結末はそんな誰かから与えられるような安直な幸福が降ってきて終わるのではなく、厳しくも尊い人としての在り方が描かれていました。
非常に硬派な作品であり、社会の在り方や人としての在り方といったようなことにご興味がある方には是非読んで頂きたい作品です。

クリスマスという煌めいたイベントが誰にとっても幸せな時間ではない。その影で涙を流す母子の切ない物語です。
痛々しい描写に心を締め付けられますが目を背けてはいけない、すぐそこにある日常のリアルにも思えます。
悲壮感を抱える生活の中でも、小さな子に夢を、懸命な母親に希望を、作者がサンタクロースのように捧げたストーリーの結末をご覧いただきたい。

　格差と言う言葉が差すのは一体何なのか。それは単に手元にあるお金のことではなく、頑張れど頑張れども埋まらない差のことかも知れません。そして、貧困は大人だけでなく、罪のない子どもにまでのしかかる……

　お金がないというたったそれだけのことで、Xmasさえ悲劇になる、それが貧困の恐ろしさかもしれません。

　しかし、逆にお金さえあれば幸せになれるかというとそうとも言えません。幸せとはなんなのか、本当に必要なものとは何なのか。色んなことを考えさせられる秀作！　是非ご一読下さいませm(_ _)m

誰もが幸せなクリスマスを迎えられますように。
複雑な家庭事情を抱えれいる（いた）人は多いと思います。
自分の努力の及ばないような環境に置かれている人もおられることでしょう。
世の中から少しでも貧困がなくなりますように。
このような素敵なお話が世の中に広まることで、その一助となれればと思います。
全ての人にメリークリスマス！