イチオシレビュー一覧

　伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁ぐ。
　社交界では悪女と名高かったものの、実はそれは全て妹の仕業に過ぎない。
　これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われてしまうのだが・・・。

　とにかくヒロインの悪女としての振り切れっぷりがすごい作品！
　それはもはやこの世界そのものに対する復讐といったレベルのすさまじさ！！
　もし身近にこんな女性がいたら凡庸な一人の男に過ぎない私などは到底耐えられそうにもありません！！！
　是非ご一読を！！！！

本作は紫野いずみさんがかつて紡いだ、同じタイトルの物語の連載版である。

貴族令嬢モノな物語では時々ある、不遇な境遇にあった貴族の女性――彼女にとっては母たる、父にとっては正妻である女性が亡くなったのを機に、父親の愛人とその娘……つまり主人公にとっての腹違いの妹が家に上がってきたせいで居場所を奪われた……そんな主人公が幸せになりざまぁをやらかすという、テンプレに連なる物語である……が、本作のヒロインの場合はその振れ幅がハンパではない。

その主人公が嫁がされた、悪い噂がある貴族が、その手綱を適度に握っていなかったばかりに……ッ！？

国家の存亡さえも左右する、もはや女傑たる主人公の振り切れっぷりに、どうぞ恐れ戦き、ゾクゾクしてください(;'∀')

異世界恋愛ではお馴染みの悪役令嬢。
ですが、悪役令嬢はあくまで『悪役』なので、本物の悪女ではないパターンがほとんどです。
その点本作の主人公エメリィは、正真正銘マジモンの悪女です！
その振り切れた悪女っぷりは、いっそ清々しいほど！
愛のために国すら動かすその気概は、畏敬の念すら感じます！
実力派作家が紡ぐ稀代のピカレスクロマン！
この機会に、是非ご高覧ください！

虐げられ主人公がハッピーエンドになる話の定番として、ヒーローが救ってくれるというのがありますが、こちらの作品は「自分が持っている貴族の常識を武器に自ら反撃に出る」作品です。
なので、真の悪女が主人公になります。

男をとっかえひっかえして遊ぶだとか金遣いが荒いなんてのは悪女じゃなく「貴族としてはただのアホ」と思っている私からすると真の悪女としか言いようがありません。

ある意味旦那様となる公爵閣下は「ヒーロー」かもしれません。
始まりはド定番ですが、定番とはちょいズレなヒロインの復讐暗躍劇
続きが楽しみです。