イチオシレビュー一覧

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B型と答えておけば、助かったかもしれないのに……‼

 何故『血液型』を聞かれたのか。本作がミステリーなら、この一点に尽きるだろう

 しがないセールスマンの川北は、会社のノルマに悩んでいた。何せ¥五十万以上もの高額な商品を、顧客に売り捌かなければならないからだ。

 営業先を求めて辿り着いた、山奥の地。早速、村人の家に訪問すると、家人に何故か血液型を尋ねられる。川北が営業トークを披露するまでもなく、

『一番高い品を買いますよ、その代わり――』

 村人の出した条件とは。生活がかかっている川北は、断れなかった。

 短編ゆえ、数分で衝撃の結末が待っている。村には、とんでもない秘密があった。勇敢な読者は今一度、ここでタイトルの意味を考察してみると良い。

 愛嬌はないが、愛あるツヨシ氏の名作を知ってほしい。彼の描くホラーは生温かい残酷さと贅沢な味わい、ユーモアに満ちている。

 切ない、惨い、悔しい。血液型を問われた時、B型と答えていれば――
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