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一話を読めばこの雰囲気が好きな人は惹かれること間違いなし

  • 投稿者: あやぺん   [2024年 09月 03日 23時 45分]
 タイトルが長くなりましたがそのままです。
 謎めいたキャラクター、ルナ・ペルッツや作者さんの紡ぐ文章が作る独特な雰囲気はまさに「幻想怪奇」という作品名通り。
 
 一章
 蜘蛛(1)から(8)までを読めば、自分に突き刺さるか分かるので、まずは是非読んでみて下さい。
 私としては、読み出して頭の中に映像が浮かぶ作品に出会いました。

 大人向けの絵本を読み出したような気分になり、どこか不気味さや不穏さがあるので、先へ進むと何か恐ろしいものを目撃してしまうのではないか……と怯えつつ、どんな世界が現れるのか期待で胸が膨らみます。
 

自由自在に描写で物語を操っている

 第一話の冒頭から面白みのある設定が書かれており、すぐに丁寧な人物描写が目に入った。

 三人称ならではの、時に重厚であり時に軽快な地の文が、会話文の合間合間にクドくならない程度の文章量かつ端的な内容で挟まれている為に、状況の軽さや重さが自由自在となっている部分に作者の強みが見えた。
 特に会話文の合間に挟まる地の文は、物語としての必要十分な描写を丁度良く抑えているという印象を覚える。

 それとは逆に、良い意味で情景描写はとても力強く書かれていると感じた。こちらはむしろ絵が見えるかのように書かれているのが印象的で、他の描写と使われている字数を比べてもより多くなっているように思えた。

 誰がどこにいて、どのように、何をしているということがハッキリと分かるように描写されているように感じ、行間の開け方なども相まって、読者は非常に本作の状況を想像しやすく、そして読みやすく感じるだろうと思った。
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