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邪気眼の下に隠しているものは

出落ちのようなタイトルと、タイトルそのものの姿や振る舞いを見せる主人公のあり方に引き込まれる作品。
江戸の街で起こる事件を解決していく職業ものであり、江戸っ子たちの人情に熱くなったり隠された悪意に慄いたりと、バリエーションに富んだエピソードを楽しむことができる。
そして、そんな物語を邪気眼の笑いが彩っている。

この邪気眼侍は、一貫して聡明な人物として書かれている。たとえ痛い振る舞いを臆することなくやる変人であったとしても、事態に対して的確に動く。故に普段の振る舞いと合わせて、奇妙な印象を抱くキャラクターになっている。

彼が邪気眼侍になるにもきっかけはあったのだろう。それを示唆するエピソードもある。そして、彼の本性は別にあるということも。
眼帯で隠された彼の目は、本当はなんなのか。その興味深さが、この作品の強烈な魅力となっている。
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