イチオシレビュー一覧

喩えて言うなら、仕事が一段落した後の温かいカフェラテ。
帰り道、ふと見上げた冬空の半月。
それが未来屋ワールドの魅力なんだ——と、Ajuは勝手に思っています。
そして、もう１つの魅力が・・・
もう「グルメ作家」と読んでもいいくらい、食べ物を描かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないか——と思うくらいの描写力。しかもそれが日に日に凄みさえ帯びてきているように感じます。
本編は「目玉焼き」を中心に語られる何気ない朝の風景です。
その冒頭の描写が痺れます。
事件も何もなく語られる穏やかな日常の物語でありながら、冒頭とラスト（少し先へ進む「幸せ」への予感）との響き合いに、温かな感動が、ふわり、と胸に浮かんできます。
さあ、あなたもぜひ未来屋ワールドへ———。

何でもない日常の一コマ。

目玉焼きだけで。
例えばコーヒー、トーストだけで。。。
そこに愛情があるからこそ、ストーリーが生まれる。

いつも通りの幸せな朝。
…だけでなく、さらなるハッピーエンドが待ち構えているとは知らずに、今朝も何も変わらない朝に彼女は目玉焼きを食べる。

とろりとしたキミの驚く顔が目に浮かぶ物語です。

是非ご一読ください。

卵は優秀。アミノ酸スコアが100だ。
物価の優踏生だった卵。過去形なのが辛い。
でもさ、二人で食べる時は、栄誉学も経済分析も、ひとまず置いておこう。

そう。
卵、美味しいね！
美味しいと、嬉しいね！

愛する人の笑顔が見たいから、本作の主人公「僕」は、目玉焼きを作るのです。
それは愛以外の、何ものでもない行為だ。

読み終えた皆様。
絶対に、目玉焼きが食べたくなります。

だから今日は卵を買って帰ろう。
ちよっと（だいぶ）お値段高くても。