イチオシレビュー一覧

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全員悪者!ドロドロの群像劇。

  • 投稿者: 黄札   [2023年 11月 09日 21時 46分]
学生時代、ある罪を犯した五人の男女のもとへ手紙が届くところから物語はスタートする。ある者は社会的成功を収め、ある者は転落人生を送り、ある者は一見普通の家庭を築く……そんな彼らがそれぞれの事情から巧妙な罠にかかっていく。罠をしかけたのは誰か? 最後までわからない。
この物語の面白いところは復讐をする側ではなく、五人の悪人の視点でジワジワと追い詰められていくさまを描いているところだと思う。また、人の裏の顔、嫉妬や憎悪、怨恨など醜い感情がこれでもかってくらい出てくる。それが物語に深みを与えているのだろう。スリルあるバイオレンスミステリー。

ざまあみろ、と言いたいです。

  • 投稿者: 退会済み   [2023年 10月 24日 01時 27分]
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栄えあるネット大賞一次という狭き門を通った作品と知り、あらためて読みにうかがいました。

ターゲットとして復讐される男女が、ことごとく自分のプライドや損得には敏感なのに他者の心を汲み取れない人間です。

物語が本格的にアクセルを踏みはじめる中盤以降、ターゲットたちのボスと呼ばれてしかるべき人物像が瓦解というか自滅というか、巧みに社会に適応し、糊塗し擬態してきた醜悪さを剥きだしにします。

隠しきれない隠し味(もちろん腐っています)が冒頭から滲み出ていましたが、ようやく馬脚を現しましたね。染み着いた自分自身の習性に足元を掬われましたね。


地獄にようこそ。


あえて秋山VSコイツに焦点を絞った展開/構成がお見事です。良い作品を堪能しました。作者さまに感謝申し上げます。

ナーロッパ的な『ざまぁ』に飽きた人へ昏い愉悦を

 2023年に入って4ヶ月以上経った今もなお、「なろうテンプレ」の需要は多い。
「ナーロッパ」的な舞台……迫害された主人公の一発逆転……そして、『ざまぁ』。そんな飽和気味の「なろうテンプレ」作品に飽きた人も多いのではなかろうか?

 そんな人に、本作を是非おすすめしたい。

 舞台は現実の2023年の日本に近い世界。主要登場人物は全員クズ。ぱっと見で敬遠されかねない内容ではある。
 実際、私も最初は敬遠していた。
 しかしながら、ある日気まぐれを起こして読み始めると、読み進める程に、背徳感を自覚しつつも昏い愉悦が湧きあがるのを禁じ得なかった。

 本作は、凡百の「なろうテンプレ」作品よりも、遥かに面白い。
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