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1970年代のロボットアニメの悪役転生

小説家になろうでは悪役転生ものは珍しくありません。
しかし、既出作品の多くは『剣と魔法のファンタジー』の異世界が舞台で、ゲームや漫画の世界への転生が主流でしょう。

こちらの作品はロボットアニメの世界で、主人公が悪役に転生します。
しかも1970年代もの! 当時の世相やアニメ・特撮の裏話があり、マニアの心くすぐる小ネタが満載されています。

リアルタイム世代だけでなく、21世紀生まれの若者達にもせひ読んでいただきたい熱い作品です。

リアルタイム世代ホイホイなスーパーロボットもの

 表題通り、1970年代~1980年代に最初の黄金期を迎えたスーパーロボットものの特撮およびアニメをリアルタイムで見ていた世代、そしてロボットウォーシミュレーションゲームの『スーパーロボット大戦』シリーズに古くから親しんで来た世代の、ツボを直撃する小説である。
(ほんとは「おっさんホイホイ」と書こうとしたが、この小説中でも(関係者の実名をぼかして)言及されている通り、当時のスーパーロボットものには女性ファンも少なからず存在しているので、「リアルタイム世代ホイホイ」と書いた)

 私は原則として「現実世界にありふれている理不尽をわざわざ小説の世界でまで読まされたくない」という主義なので、主人公の尽力で原作シナリオの理不尽を可能な限り回避していく、という本作の作風は実に心地良い。

 とにかく、表題の世代に該当する人達には是非ともおすすめしたい。

機械味の美味しいミックスジュース(愛情入り)

 まず設定として『悪役に転生』という作品はありふれているものの、本作の独特な転生先に驚いた。
 これぞ発想の妙なのだろうと思いながら、タイトルを読み進めていくと『残り四十三話で』という気になる一文、これは非常に気を引く設定だと感じた。
 これが主人公の命に具体的なタイムリミットが指定されているという認識で良いのならば、やはり作者の発想力に驚かされる。元々ふわっとしたリミットはどの悪役に転生してもあるのだとは思うが、まさかそれを話数で確実に伝えてくるなんて、考えた事も無い発想だった。

 そうして本作は作者の人生を想ってしまう程の大量のインプットが散りばめられている。
 作者が好む作品をインプットし、それをミックスジュースの様に混ぜ合わせアウトプットされた作品だという事は言うまでも無い事だろう。
 
 同じ道を通った読者は必ずいる。
 ならば愛で作られた本作は至高の一品となるだろうと感じた。

マニアにこそ読んで欲しい作品

  • 投稿者: 無色   [2023年 06月 12日 00時 06分]
一般向けではけしてない。
ただしある層には必ず刺さる。
それでも読ませようとする作者の熱量、造詣、これを書きたいんだという世界観への愛を深く感じさせられた。

畳み掛けるようなストーリー展開には、多少インターバルを挟んでもいいかもな…という印象を受けはしたものの、サクサクと読み進めるには適しているかもしれません。

あれこれ言いはしましたが、総合的にはおもしろいの一言につきます!!
ストーリーの構成力が異様に高いので、今後更におもしろくなることが予感されます!
ステキな作品を紹介いただき、まことにありがとうございましたm(_ _)m
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