イチオシレビュー一覧

　元庶民の男爵令嬢、いわゆる成金令嬢と呼ばれるナリア・キンゼルは夜会において、庶民の1ヶ月分の月給である紙幣1枚に火をつけて燃やし明るくするという面白いパフォーマンスをしたつもりであった。
　しかし、シェフである青年にビンタを食らい、また金を稼ぐ大変さも知らないのかと激怒されてしまう。
　それに驚いた彼女は、彼のレストランに向かい皿洗いとして働くことになったが……。

　彼女は何でも叶う状況にあったので我儘に育ちましたが、異なる環境に移ると彼女は大切なことに気づき、そしてそれを自ら改めて行動していくのです。
　その懸命に頑張る姿には皆様も励まされるのではないのでしょうか？
　コミカルであるためテンポが良くて読みやすいですし、心が温まる素敵な作品なので、是非今1度ご覧ください。

一攫千金や立身栄達は、多くの人々にとって憧れの的ですね。
血の滲むような努力や秀でた才覚によって市井の徒から高貴な身分へと成り上がった人々は、正に立志伝中の人物というべき傑物です。
本作の視点人物であるナリア・キンゼル嬢の御実家である男爵家も、そうした立志伝中の傑物なのですね。
しかしながらナリア嬢にはお金の価値や使い方への理解に怪しい所があり、ある過ちを犯してしまうんですね。
この過ちが致命傷にならずに済んだのは、ある人物の毅然とした発言が切っ掛けだったのです。
忠言耳に逆らえども、行いに利あり。
成金令嬢を視点人物に据えた本作は、過ちを毅然と指摘してくれる人の存在の有難さが改めて実感出来る、考えさせられるお話で御座います。