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「少年像」と「思春期」…ファンタジーでの再認識

  • 投稿者: 在形 直   [2011年 09月 27日 04時 26分]
この物語で特に注目すべきは、そこにおける少年たちの群像だ。

どこか物憂げで、どこか高慢で、そして純粋。苦悩があって、友情がある。
……少年が思春期に感じる彩りがある。
…その中にある繊細さ。

自分の地がでる事を恥ずかしいと思う主人公は、現代日本でも普通にあるようで、
失われつつある感性かもしれない。
照れ隠しのやり取りが、なにか綺麗なのだ。
そうキラキラしている。

相手に好意を感じて、友達になりたいと思うそのものが…
相手との距離に怖がって気を使って、又は自分を卑下して、良くわからなくなっている状況があるような…
友情の距離感の揺れ動く様子が描かれている気がした。

精霊と魔法が渦巻く舞台で、大人たちの都合に揺さぶられながら、純粋さを保とうとする主人公に惹き付けられてやまない。そして照れ隠しのようなユーモアのやり取りがとても楽しくて、時間を忘れてしまうのだ。
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