イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

後に王となるイングランドの少年の、スペインからやって来た義姉への想い

 皆様は、イングランド王のヘンリー8世をご存じでしょうか? 16世紀前半の歴史上の人物で、彼が大人になった時の肖像画を見ると、まさに〝傲岸不遜〟そのもの、卓越した政治的手腕とともに、権力者特有の過大なプライド、性格の横暴さも、ヒシヒシと伝わってきます。
 しかし、そんなヘンリー8世にも、当然ながら純情(?)な少年時代があったわけでありまして……。
 本作の中で描かれる、10歳の少年ヘンリーの義姉キャサリンへの想い、憧れ――それはマーマレードの味と重なり、なんともいえない甘さと、かすかな苦みを読者に感じさせてくれます。
 ヘンリーとキャサリンは、これからどのような運命をたどるのか? 未来への予感に心が震えてしまう、とても優れた歴史短編です。ぜひ、ご覧ください。
↑ページトップへ