イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く———私の結婚相手は『伝統』だった。
主人公の内心のこのセリフが、私は一番胸に来ました。
最初から不穏だし、途中から悲しくて泣けてくるし、最後はバッドエンド。でも、読後感は悪くないし、考えさせられる話だと思います。
他の方のレビューでもありますが、「地獄への道は善意で舗装されている」。まさにこれだと思います。
私としては結局のところ最後まで二人は愛し合ってはいなかったし、夫の最後の心境も罪悪感ゆえだと思います。
最初の主人公も最後の夫も、薔薇を通して相手のことを思ってはいるけれど、結局のところ、その想像する相手は虚像に過ぎないのかなと。
しかし、だからこそ、読者である私たちへのメッセージ性を感じました。
私は良かれと思って、相手の尊厳を傷つけてはいないか。
ふと、我に返らされる作品だと思う。
主人公の内心のこのセリフが、私は一番胸に来ました。
最初から不穏だし、途中から悲しくて泣けてくるし、最後はバッドエンド。でも、読後感は悪くないし、考えさせられる話だと思います。
他の方のレビューでもありますが、「地獄への道は善意で舗装されている」。まさにこれだと思います。
私としては結局のところ最後まで二人は愛し合ってはいなかったし、夫の最後の心境も罪悪感ゆえだと思います。
最初の主人公も最後の夫も、薔薇を通して相手のことを思ってはいるけれど、結局のところ、その想像する相手は虚像に過ぎないのかなと。
しかし、だからこそ、読者である私たちへのメッセージ性を感じました。
私は良かれと思って、相手の尊厳を傷つけてはいないか。
ふと、我に返らされる作品だと思う。
最後には、愛が残った。けれどもそれを見つけるためには、すべてを喪わなければならなかった。
些細な(つもりの)悪意や、無関心や、無理解が積もり積もって取り返しのつかない悲劇を生む──これはそういう物語です。短いお話ですが、ぐいぐい引き込まれます。舞台を変えれば現代でも通じるような、普遍的なテーマのひとつだと思います。
ラストで、主人公の夫が、花にまつわる小さな誓いを立てるのですが、個人的にここが一番痛ましいと感じました。
最初から彼らはすれ違い続け、おそらくは最後までそのことを知らないままなのだと。
間違いなく悲しい物語なのに、それでも不思議な爽快感があるのは、主人公が最後に奪われていたものを取り戻し、自分で自分の行く先を決めたからでしょうか。
──たとえその先が悲劇であっても。
ぜひ読んでみてください。
些細な(つもりの)悪意や、無関心や、無理解が積もり積もって取り返しのつかない悲劇を生む──これはそういう物語です。短いお話ですが、ぐいぐい引き込まれます。舞台を変えれば現代でも通じるような、普遍的なテーマのひとつだと思います。
ラストで、主人公の夫が、花にまつわる小さな誓いを立てるのですが、個人的にここが一番痛ましいと感じました。
最初から彼らはすれ違い続け、おそらくは最後までそのことを知らないままなのだと。
間違いなく悲しい物語なのに、それでも不思議な爽快感があるのは、主人公が最後に奪われていたものを取り戻し、自分で自分の行く先を決めたからでしょうか。
──たとえその先が悲劇であっても。
ぜひ読んでみてください。
切ないけれど何度でも読み返したくなる作品
- 投稿者: 退会済み [2023年 11月 17日 16時 10分]
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『伝統』と『格式』という名の重いドレスを押し付けられ、ほんのわずかな金額の小鳥の指輪さえも与えられなかった第一王子妃の絶望。
誰も幸せにならず、切なさとやりきれなさで苦しくなるほどですが、不思議と読後感は悪くありません。
薔薇のエピソードの回収もお見事でした。
失ってからでは遅く取り返しがつかない。当たり前すぎてわかっているようで実はよくわかっていないものです。
読者を選ぶ作品だとは思いますが、多くの人の目に触れる事を祈ります。
感想欄が閉じられているので、この場を借りて作者様に感謝を。この作品を読ませて下さって本当にありがとうございました。
誰も幸せにならず、切なさとやりきれなさで苦しくなるほどですが、不思議と読後感は悪くありません。
薔薇のエピソードの回収もお見事でした。
失ってからでは遅く取り返しがつかない。当たり前すぎてわかっているようで実はよくわかっていないものです。
読者を選ぶ作品だとは思いますが、多くの人の目に触れる事を祈ります。
感想欄が閉じられているので、この場を借りて作者様に感謝を。この作品を読ませて下さって本当にありがとうございました。
悲劇の道は善意でひかれている…という言葉をこれほど感じる話があるだろうか?
公爵家の娘として第一王子との結婚を進められる娘を押し潰す伝統と格式。その大きさと重さの残酷さは、一人の少女の微かな望みをひとつひとつ奪いながらじわじわと押し潰してゆきます。
さらにそれが恐ろしいのは、施している人が誰もそれが酷いことだと気付いていないこと。その最後に到るまで…。
見つめるだけの青い鳥の眼差しに最初に気付いた女は自分の罪を恥じることが出来ましたが、そうでなかったものたちは…。
美しく作られたものたちの影にひそむものたちの描写が、幾重にも何かを含んでいるようにも思われる読後感を是非味わっていただきたいと思います。
彼にそれを語る人は来る日はあるのかどうか、考えてみてください。
公爵家の娘として第一王子との結婚を進められる娘を押し潰す伝統と格式。その大きさと重さの残酷さは、一人の少女の微かな望みをひとつひとつ奪いながらじわじわと押し潰してゆきます。
さらにそれが恐ろしいのは、施している人が誰もそれが酷いことだと気付いていないこと。その最後に到るまで…。
見つめるだけの青い鳥の眼差しに最初に気付いた女は自分の罪を恥じることが出来ましたが、そうでなかったものたちは…。
美しく作られたものたちの影にひそむものたちの描写が、幾重にも何かを含んでいるようにも思われる読後感を是非味わっていただきたいと思います。
彼にそれを語る人は来る日はあるのかどうか、考えてみてください。
王家に嫁ぎ、王家の古いしきたりに押し潰されそうになりながら、
大きな決断をする、1人の女性の半生を描いた物語です。
小鳥の指輪が重要な役割を担っており、色々な意味を内包しています。
私が感じたのは、
慰めと苦しさ。
強い忠誠心と憐憫。
気付きと後悔。
読んだ方それぞれが、それぞれの解釈をすることでしょう。
ある女性が、覆い隠された自分を取り戻す。
そこには、どうしようもない悲しみと共に、ある意味潔さがあります。
あなたに、不思議な感情を引き起こすことでしょう。
大きな決断をする、1人の女性の半生を描いた物語です。
小鳥の指輪が重要な役割を担っており、色々な意味を内包しています。
私が感じたのは、
慰めと苦しさ。
強い忠誠心と憐憫。
気付きと後悔。
読んだ方それぞれが、それぞれの解釈をすることでしょう。
ある女性が、覆い隠された自分を取り戻す。
そこには、どうしようもない悲しみと共に、ある意味潔さがあります。
あなたに、不思議な感情を引き起こすことでしょう。
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