イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

苦しさに息が止まるミステリ

最初に断っておきます。
本作は、ある女性が辛い思いをする表現があります。そういった内容が苦手な方にはお勧め致しません。

本作はヒューマンドラマジャンルに投稿されています。ですが、1950~80年代の良質な米ミステリの翻訳版を読んだような気持になりました。

タイトルにもある一人の女性、モニーク。そして主人公である隣の家のシモンズのおかみさん。この二人の女性がある間違いを犯します。

それは間違いとも言えないほどの小さなこと。おかみさんは自分の夫に話をし、モニークは家族や勤務先に言われた事に強く抵抗しなかっただけです。
ですが、その小さな歯車のずれが、やがて彼らの住む世界を揺らし、ずらしていくのです。

そのズレが淡々と、じわりじわりと世界を侵食していく様に、読んでいるこちらも空気を奪われたように息苦しくなって行きます。

最後はなるべくしてなる、ある意味すっきりとした結末です。
↑ページトップへ